受け皿が三箇所の天秤

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辰年のてんびん座の 人は

今年 一番 運勢がよく 金運 恋愛運

全て良し  うまく行くこと間違いなし

年初めの占いも おみくじも

物凄く 良かった

その年の瀬

様々なトラブルに 苛まれた自分は

占い師のところに 行き 

今年の不幸を全て伝える

占い師は こう言う

それで 済んだことが 最高の一年だったのです 

あなたの今年の運勢が 最も良い物だったからこそ

それで 済んでいるのです  と

納得はいかない物の 師走の人ごみの中家路へ向かう

一人暮らしのアパートの鍵を開けて時

携帯の着信音が鳴る

電話口の女性は 少し慌てた声で

『田中さんの携帯でよろしいですか? 私、ご実家の隣に住む

渡辺の家の長女の 真由美と言う者なのですが、5年ぐらい前に

越してきているので、面識はない中 失礼だとは思いますが

緊急だったので、突然電話させてもらいました。それが、先ほど

近所から かなり大きな物音がして 気になって

家の窓から ご実家を覗かせてもらったところ

お母さまが 縁側の先に倒れていて

慌てて 救急車を呼んで、 近くの大学病院に先ほど

搬入されたということをとりあえず ご家族の方にご連絡したくて 。。』

と 慌てた口調で 一気に 捲し立てられ

『そうなんですが、 それで 母さんは ・・』

『それが 心臓にかなりの負担が掛かってるようで

大緊急で手術が必要なんですが、生憎 担当の先生が本日お休みらしく、

この病院で手術をするとなると

近隣に居る 以前大学病院で勤めていて今は 開業医をなさっている先生に

この大学病院に来てもらい、手術をしてもらうのが一番早いと。他の病院に移している時間無いので

その決断をしてもらいたいとの話を、看護師の方から言われ、失礼だったのですがお母さまの携帯から、こちらの電話番号を調べさせてもらって、お電話させてもらっているのですが 。。。』

『そうなんですか ・・・ じゃあ直ぐにその開業医の方に来てもらって、手術をしてもらってください』

『ただ ・・・ 問題があって その先生はここの病院の先生では無いので、来てもらって

手術をするには この場で保険適用の手続きが出来ないと。なので先生とそのクルー達を

呼んで、ここの手術室、機材を使って手術をするとなると、先に前金で800万必要だと言われてしまって 。。。』

800万 ・・・・・

『ただ、田中さんがこちらにすぐにこちらに来ていただいて、手続きをしていただければ

保険の適用の負担額以外は戻ってくるとの話なのですが・・・』

『田中さんは もうお仕事はお正月休みに入られましたか?すぐにこちらに来れるとしたら、いつぐらいになるでしょうか?』

この年の瀬に 新幹線のチケットがすぐに 手に入るとは思えない

上手くしても 今夜遅くのチケット もしくは 夜行バスで行った方が

良いのか  

電話を切った後に 詳しく調べるとしても 実家までは

新幹線を乗り継いでも5時間強 運よく飛行機が取れたとして

4時間はかかる

『そのお金は 今すぐに払わないといけないのですか? どこに振り込めばいいのですか?

病院?』

『先ほど 看護師さんから渡されたメモ帳に そのお医者様の病院の振込先が書いてあるので

そこに振り込み、確認が取れ次第、手術に取り掛かってくれるとのことなんですが・・・』

『では すぐに口座からネットバック経由で振り込んで、一番 早い行き方を調べて

実家に戻るので、それまで 母さんのそばに 真由美さんに居てもらってもいいですか?』

『わかりました。私は病院に居ますので、駅なり空港に着いたら電話ください。こちらも何かあったらこの携帯電話のCメールにでもお送りします』

プチっと携帯が切れた後、今話していた携帯番号からメールが届いた

振込先はネットバンクで 病院名ではなく 個人名義だけど

今は それよりも実家に急がないといけない

携帯から 金額を打ち込み送信

飛行機のチケットに空席は無く 新幹線も無い

ただ 新幹線の方が キャンセルが多いかもと思い

駅に向かうことに

偶然 キャンセルが出て すぐに新幹線に乗ることが出来

5時間後 駅を出て タクシーに飛び乗りすぐに

真由美さんの携帯を鳴らす

。。。。。

。。。。。

。。。。。

鳴らない

病院内に居るから 電源を落としているのかも知れない

大学病院の前でタクシーを降り

エントランスに向かおうと 歩き出した時

実家の母さんの携帯から 着信

慌てて 病院の自動扉の前で 通話ボタンを押す

『とも かい? 母さんだけど、あんた いつからこっち帰ってくるって

いっとったかね~?』

『何 言ってんだい 母さん。 それよりも手術は?終わったの? 大丈夫なの?』

『なに言ってんの は あんただよ~ 手術って 何のことかね?私はさっき畑に行って正月の煮物用に里芋掘って来て 腰が痛くて痛くて』

。。。。。

慌てて 携帯でネットバンクの取引履歴を見て

振り込みが完了しているのを確認

呆然としながら タクシーは 実家の前に止まった

実家の隣にあった家は 足場で回りを囲まれ黒いシートが垂れていた

玄関を開ける前から漂う 筑前煮の香り

扉を開け 中に入ると エプロンを下げた母さんが

驚いた顔をこちらに向ける

体調を訪ねた 母さんは 笑いながら 自分を叱咤する

警察に電話し 全ての事柄を話した

振り込んだお金はすでにビットコインに換金され

行方はわからない

相手の携帯は使い捨てで 追跡した場所は海の中

大学病院の近所に開業医はおらず

病院に尋ねたら そんな事を大学病院でする訳が無いと

大みそかの夜

あの占い師が 言った言葉を思い出した

800万もの大金の詐欺にあったが 

母さんが何事も無く 元気で良かったと 思おう

すべてを前向きに捉えれば 後ろから

槍で刺されようと その力を利用して

前に進める

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