送られてきたA4サイズの段ボールのテープを
ハサミの刃の部分で切り込みを入れ
蓋を開く
箱の中身は空っぽで
一枚の紙切れすら 入っていなかった
不思議に思った私は
蓋の表に貼ってある 伝票の名前を見る
確かに 送り先は 私の家だ
ただ
差出人の名前の欄にも
私の名前が書いてある
箱の中は 無臭で
毒ガスのようなものが入っているようにも思えない
かと言って
私が私宛に 空の箱を送るわけが無い
少し寒気と共に 嫌悪感がしてきた私は
伝票に書いてある
荷物を運んできてくれた運送会社に電話をした
受付の方に確認してもらった所
確かに二日前に 私の名前で 私の自宅住所に集荷の依頼があり
ドライバーが 伺い荷物を集荷してきているらしい
電話を切った私は
その日の事を思い出してみた
その日は クライアントとの打ち合わせが
急遽キャンセルになり
事務所兼自宅に 早々に戻って来ていた
その後
別れた妻から連絡があり
鏡台の引き出しに忘れた
ネックレスを 宅配便で送って欲しいと連絡があったので
集荷を依頼した
その時
思い出したそれまでの日々 降り注ぐ日常の出来事
上手くいかない仕事 会話の成り立たない妻との日々
徐々に 人を受け入れられなくなっていく自分自身の姿
その 思い出した 全ての心を
一箱の段ボールに向かって 大声で吐露し
テープで封をした
集荷のドライバーが 来た時
妻宛の段ボールと共に
同じ住所に 送ってもらおうと思って
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