一人暮らししてるアパートのリビングに
携帯の着信音が 響き渡る
シャワーを浴びて まだバスタオルを頭に被ったまま
携帯を開き 画面を確認する
画面に表示された番号は
見間違いかと思ったが
間違いなく自分の携帯番号だった
画面の ”応答„ボタンを押し
携帯に耳を当てる
ガサガサと雑音が響き
聞こえてきた声は
間違いなく自分の声
「 逃げろ 今すぐ 」
何かの悪戯かと 思い
今一度 携帯の画面を確認し
着信のあった 携帯番号を見る
間違いなく自分の携帯の番号が表示されている
自分の携帯に 自分の携帯から電話が掛かる
そんな事 出来るはずも無いと思った僕は
再び画面の 通話ボタンを押し 電話を切った
詐欺か悪戯だと思った僕は
もう一度 携帯を開き
着信履歴を確認した
画面に残っている履歴には
自分の携帯番号と 自分の名前が表示されてる
ただ
表示されている時刻は
今から 5分後
今が 夜の9時15分
履歴に残されている時間は
9時20分だった
なにか バグが起きているのか
またしても何かしらの通信障害か
一応 念のため
携帯会社のアプリを開き 確認するも何も出ていない
IP電話の機能上 通話はネット回線に載せられて来る
声を変換した後 インターネットを介し
送られてくるので タイムラグは発生しない
声を変換 復元することが 遅くなったとしても
ここまでのラグは起きないだろう
あるとすれば
事前に取っておいた 変換データを
後にパケットに載せて通信する
アプリの開発に従事してる会社員の末路か
帰って来てまでもそんな 事を考えていた
時刻 9時20分
何が起きたのか
何がどうなったのか
何もわからないまま
僕は 空に舞っていた
宙 高く舞い 地上を見ると
先ほどまで腰を掛けていた ソファーも
入っていたユニットバスも 跡形も無く
ただ 轟音と共に 炎に包まれていた
ガスボンベでも爆発したかのように
宙に舞っていた僕は
右手で掴んでいた携帯電話を顔認証で開き
地面に叩きつけれる寸前に
頭に浮かんだ番号をダイヤルした
「 逃げろ 今すぐ 」
地面に押しつぶされた僕に
ひらひらと舞い落ちるバスタオル
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