会社に 帰社したのは 夜の8時
書類を整理し 会社を出たのが 9時ちょっと前
駅に向かい 3駅先で 下車
駅前の いつものラーメン屋についたのが 9時15分
暖簾をくぐり ガラガラっと 扉を開け中に入る
いつものように 席の周りを一周し
厨房の脇にある 小窓のクレセントに カバンを引っかけ
ハンガーに吊るしたスーツのジャケットをカバンに掛ける
カバンから出しておいた タオルを頭に巻き
厨房においてある 前掛けをし
入って来たお客さんの注文を受ける
深夜3時半
ラーメン屋の営業が 終わった後
チャーシューともやしのどっさり入ったラーメンを
店主からご馳走になり
食べている間に 明日の仕込みの寸胴に具材を入れ
暖簾を降ろしてきた店主が帰宅したと同時に
客席の丸椅子の向こうに ビール瓶の空き箱を5つ並べ
その上に カバンから取り出した 薄い毛布を引き
頂いた賄いの どんぶりを洗い
固い自家製ベッドの上で眠る
3時間ほど寝た 午前7時
炊かれた寸胴の 上に手洗いして干しておいたワイシャツを
麺の湯切りさながらに パンパン伸ばし
それを着て 寸胴の火を止める
カウンターに置いてあった鍵で
入り口の鍵を閉め 鍵をポストに放り込み
小窓に掛けておいた スーツのジャケットを羽織る
駅まで歩き また3駅隣の駅で降り
会社に着いたのが 7時45分
オフィスビルの自動扉が 開く時間にいつも到着し
3Fのオフィスのトイレに入る
ブースの中の椅子に座り
カバンを扉にかけ しばらく目を閉じる
おおよそ 30分後 勢いよく扉を開け
入って来た掃除のおばちゃんの鼻歌で目を覚ます
いつものように おばちゃんに挨拶をして
顔を洗い
会社のタイムカードを押して
また 会社を出る
東京に来てから 4年と3か月
ずっと この生活
これで 月に稼ぐのが 両方合わせて 手取りで38万
賄いのラーメンは肉も野菜も取れるので
食べるのは 日にそれだけ
このコロナ過で 企業の業績も著しく無いので ボーナスも無い
たまに ラーメン屋の店主に お小遣いとしょうして
数1000円貰えるが それも 全て 田舎に送る
楽しみと言えば 田舎に残してきた 妻がたまに送ってくれる
娘の写真を見る事だけ
生まれてから 今年で 5年
5歳になり 近所の幼稚園に通い
だんだんおしゃまさんになって来たと 妻は言う
漁が出来なくなってから
あの村に仕事という仕事は無くなった
生まれた時から将来は 漁師になって生業していくと思っていたので
勉強もせずに 中学しか出なかった
今の生活に なる前は 定職に就かづ その日そのまま
たまに 手伝いに呼んでくれる 村の役場の仕事でなんとか食いつないでいたけど
そんなんで 良いと思っていた
妻に出会い 娘が生まれるまでは
妻が村に帰って来たのは
5年と8ヶ月前
幼い頃からずっと一緒だったから 何も聞かなかった
それが良いと思った
一本の薔薇を育てる
撒いた種の品種も違ったり 撒いた土の成分も違う
気候も環境も 肥料も違えば 水の温度も違う
ただ 育てた人の 愛情があれば
薔薇は何よりも綺麗に育つ
それで良い
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