ゴミを出しに 玄関を開けサンダルを履き外に出る

ブルっと するような 寒さに 口から吐く息は白い

まだ 明け方の空は  まるで 日が沈む 夕焼けの街のような顔をして

静かに 佇んでいた

ゴミ捨て場には もう 何袋かのゴミが ネットの中にあり

その中に 自分のゴミも そっと置いた

ネットを伏せて 

家に戻ろうとし 振り返った時

電信柱に 黒い影が見えた

誰かが 隠れた 

化粧をしていない顔を見られたくない住人も いるのだろうと 

自分も そちらを見ず すれ違いざまに 軽く会釈のみし

通り過ぎた

家の 玄関の前に 付いた時

ふと 後ろを振り返り ゴミ捨て場の方を見ると

先ほど 誰かが いた 電信柱の 向こう側に

また 黒い影が見えた

えっ 。。

急いで 部屋に入り 

ドアのスコープから そこを確認する

向こうも こちらの様子をうかがっているのか

全く 動かない

。。

数分 覗いていたが 

動いてくる気配が無いので

目的は 家では無いのだろうと  高を括って 

スーツに着替える前に 歯を磨き

シャツを着ながら 軽く髪の毛をセットして

ゴミ捨て前から 淹れていた コーヒーをマグボトルに注ぎ

カバンに放り入れた

ヤバイ ちょっと いつもより 遅い

あの 覗きのせいだ

革靴を トントンしながら 履き

玄関を 明ける前に また スコープから 覗いてみた

もう 何も見えない気がする

玄関を開け 鍵を閉め 

もう一度 電信柱の方を見てみる

確かに もう 影は見えない

家の電気を消したことを 小窓から確認して

ゴミ捨て場の横を 通過する瞬間 

バサッと  

何かが 頭に のしかかった  

驚きのせいで その場につんのめり

慌てて 頭をぶんぶん振り 

どうにか その手を  振りほどこうと 必死に 身体を上下し

おっかなびっくり 手で それを払った

パッと 目を 開き

そいつを 睨もうと 目を大きく開けると

黒い 布かビニールの様なものが フワッと風になびき

空に舞った

そのまま 視線を電信柱に向けると

そこには 先ほどまで それと繋がっていたであろう 

傘の骨の部分だけが 電信柱の 足場ボルトに引っかかっていた


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