記憶の入っていないメモリー

記憶の入っていないメモリー

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いつもと同じ時間に 携帯のアラームが鳴り

いつもと同じ時間に 二度目のアラームを止め起床

何気ない毎日 何も起こらない日常

退屈でもあり 有意義でもある日々

ふと携帯に目をやると 

着信を知らせるランプが点滅している

顔認証で携帯を開くと

もう 20年は会っていないであろう 

小学生の同級生からの着信履歴が 深夜の3時すぎに一度

マナーモードにはしていないし

アラームに敏感な僕は 着信音に気が付かない訳も無く

きっと 音が鳴る前に切られている

その着歴の前に 15個の非通知の着信履歴

間髪おかず数秒間にかけられている

同級生の高木君に かけなおそうかと思ったが

真夜中に電話してくるような子では無かったから

きっと 間違えて押してしまったのだろうと思い

用意を済ませ 会社に向かう

高木君とは 特段仲良かったわけでは無い

ただ 動物園に遠足に行った時 

みんなでお弁当を食べる輪から漏れて 僕が

先生のレジャーシートに連れていかれた時に 

既に高木君は座っていた

その時に少しだけ 会話した程度

今の時代では 連絡網など無いから 

携帯を持っている子は 携帯番号を回すのが当たり前で

声を聴いたことも無い子の 電話番号も入っている

その時話した会話が 少し 意味が解らなかったから

高木君が記憶に残ってるけど 

確か 将来の夢は何 と言う先生の問いに

高木君は 『探して懲らしめたい人がいるから

その人を探したい』

って 小学生とは思えない 訳の分からない事を言っていた

のが衝撃だったのと その後に 僕にだけ 聞こえる声で

『黄泉の門番に その人達が ここの町の住人に生まれ変わったって

聞いたから 。。。』

と言ったのが しばらく 忘れられなかった

 

着歴の事など すっかり忘れて

帰宅し風呂上がりのビールと共に 夜のニュース番組を付ける

どこのチャンネルでも 昼間の一家殺害のニュースで持ち切り

千葉で 両親と同居していた妹2人を 包丁で何度も刺し殺害した 

兄の 高木啓介 33歳

を警視庁は殺人罪で逮捕したと 。。。。。

高木啓介  。。。

えっ   高木君    もしかして 昨日電話くれた

高木君 ?

同姓同名だけど  まさか   

と 思っていたところに 幼馴染のよっちゃんからの 電話

僕らが中学に上がるころに 両親の都合で越したのが

千葉だから 同い年だし 名前も一緒だから 間違い無いだろうと

安居んとこ 最近 連絡なんて 来た?

の問いに 昨日 真夜中に着歴があったなんて

なんか不自然に自然で 怖くて言えなかった

それから 数日後 

人の記憶なんて 曖昧で そんなニュースの事

頭の片隅にも残っていなかった 土曜のお昼に

テレビを付けながら お昼を食べていると

高木容疑者が 搬送される模様です と中継が始まった

そこで うっすらと その話を思い出し

顔が映ったら少しは わかるかもなんて 想いながら

テレビを見ていると 建物から青いフードを被って出てきた男

顔は見えそうに無く  両手に手錠をはめ 警察官に引っ張られていく

車の開いた後部座席の扉の上部を 警察官が手覆うと

その男が 頭を上下左右に 一心に振り 

青いフードを振りほどいて 

カメラの方を向いて 口を大きく動かし

こう呟いた

『君だったんだね 生まれ変わりの最後の一人

安居君 。。。 』

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