怖いのは どの鴉 

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まだ 明け方の靄の中

開けていた窓の外から

突然 大きな音が聞こえてきた

慌てた私は ベッドの上から

窓の向こうの空に目をやる

カーッ  カッ カーッ

バサバサッ バサー

キキーッ クワックワッ  カーッ

数羽のカラスが  一斉に飛び出し

空中で 戦っているようだ

羽をバタバタと 広げ 隣のカラスを押したり

くちばしで つついたり

縄張り争いなのか 産卵期の巣を狙われたのか

何度も何度も カラス語で怒鳴りあい

相手を 啄む

寝ぼけていたので はっきりとは覚えていないが

数分 5分後ぐらいだろうか

大勢が決したのか  

ボリューム15 ぐらいから  

2ぐらいの 耳元で囁くような 小さな 泣き声に変わった

そんな事が 月曜の明け方に 起きていたのを

すっかり忘れていた 日曜日

うちのマンションは 

線路沿いに建っていて 駐車場側の道は 

突っ込み道路で 行き止まり

なので エントランスのある 正面以外は  

なかなか ある事も少ない

たまたま 3か月に一度の

マンションの住人の 交流も鑑みた 

掃除の日

私は 地下駐車場の入り口から その道路までの担当だった

マンションと線路の間には

鉄道関係者の方が 歩けるように

フェンスの向こうに 1メートルぐらいの砂利道がある

山に盛られた 線路の裾野

道路の掃除をしているときに ふと

その砂利道が  真っ黒になっている事に気が付いた

まるで 誰かのベランダから

ダースベーダーカラーのベッドシーツが覆いかぶさった様に

そこかしらが真っ黒

恐る恐る 近づき フェンス越しに

その ダークサイドに目を凝らしてみる

カラスの羽だ

辺り一面 カラスの羽で 埋め尽くされてる

その 奥には 数羽のカラスが横たわり

真っ黒なカラスの羽の上に 何万発のカラフルな

空気銃の玉が散乱していた

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