茜色の空 4

噛むと美味いんだ     ~come to mind~ - にほんブログ村

その 老人の事は 凪に後々聞いた。

三つ隣の駅の前で 古くから中華屋さんを営んでいるらしいが

その駅の友達に聞くと、 その中華屋で食べてる人を見たことが無いって。

だから、昔は市場から直接仕入れていた野菜を

ここの八百屋まで買いに来てるらしい。

でも、店が繁盛してないのに野菜を買うなんて

とも思ったが、 店が繁盛していなくても

本人も毎日食べるんだから、野菜を買うのも当たり前か。

しかも、うちの社長は業販で、市場から仕入れた値段にほんの数円しか載せずに

老人に売っているみたいで

老人がカゴに入れるお金がいくらなのか

凪も知らないって。

ただ その高橋って老人は 社長の先代からの付き合いだから

大切にしろって のが 社長の口癖だったらしい。

バイトを始めて 一か月ぐらいたったあたりで

あの開かずの扉の向こうには 社長が先代から譲り受けた物が置いてるって

事だけ聞いた。

それがなんなのか、高価な物なのかは教えてもらえなかったけど

若旦那さんは 自分もそれが受け継がれるのが楽しみみたいに

言っていたから

もしかしたら、往年のファミコンのソフトかなんかだろうかって

凪に冗談を言った。

ファミコンを知らないリーさんが

「それは タイヘン美味しい?」

なんて 聞くから 2人は大爆笑した。

「リーさんは こっちでご飯は 何食べてますカ?」

僕が聞くと

「ハイ。だいたい チャンさんが用意してくれます。 チャンさんヤサシイ。とてもシンセクです」

「日本には 慣れてきました?」

「ハイ。すこーし。でも もう後少ししか居られません。残念です。後数か月居られませんか?」

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そう 僕に言うと

リーさんは 少し悲しそうな顔をしていた。

木曜日

学校帰りに 母親に頼まれた買い物をしに

三つ隣の駅にある役所に行くために電車に乗った。

駅の改札を出て ロータリーの路地を曲がった角に

小さな中華屋さんがあった

ここが あの老人の中華屋さんか。 

帰りに顔観に 重そうなドアを開けてみようかな~

なんて 思いながらガラス戸の向こう側に目を凝らすと

確かに客は一人も入っていなかった。

母親に頼まれた書類を 役所の市民課に提出し終えた僕が

あの中華屋へ通じる道を曲がった時

店に入って行く客が 数人が見えた。

店の前に差し掛かり またガラス戸に目を凝らすと

リーさんと同郷に見える感じの 外国人が3人

中の椅子に座り メニューの横に置いてあるテレビを見ていた。

続く


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